可逆反応で、正反応と逆反応の速度が同じ場合には動的平衡となり、反応系を構成する各物質の濃度は変化しない(化学平衡)。また密閉容器の中に水と空気を入れておき、水蒸気が飽和蒸気圧に達すると、水の蒸発速度と水蒸気の凝縮速度が等しくなり、動的平衡に達する(相平衡)。熱平衡でも、実際には熱エネルギーはすべての方向へ全く同じように伝わっている、つまり動的平衡状態と考えることができる。 これらの例を構成する互いに反対の「流れ」は、一般にそのままでは観測することができない。ただし対象によっては分子を個別または定量的に見る方法で観測が可能である。一般には系を平衡からわずかにずらして、平衡に戻る過程を観察すれば流れとして観測できる。 応用:平衡定数と速度定数の関係 一般の化学反応は非平衡過程であるから熱力学で記述できず、時間変化を扱う反応速度論の範疇にある。しかし可逆反応による動的平衡状態では熱力学と反応速度論の両方が適用でき、それぞれに基づく概念である平衡定数と速度定数との関係式を導くことができる |